どくのメモ帳

どくイモムシの毒吐き場。ゲームレビュー記事「超ファミコシ珍拳EXPRESS」も連載中。

エンディングテーマで見るタイムボカン三悪史

私が「うごメモはてな」で連載している「うごメモ天使はかなちゃん」に登場する「うごマロ・メモンジョ・メタボー」
の三人は、紛れも無く「タイムボカン」シリーズの三悪のオマージュであることは承知の事実である。
私はタイムボカン直撃世代ではない若造だが、それでも三悪の名に恥ないキャラにするべく
youtubewikipedia、各種サイトで日々研究を行っている。
その成果として、タイムボカン三悪を語るには欠かせない「エンディングテーマ」から、タイムボカン三悪
歴史を追ってみたいと思う。

【目次】

タイムボカン「それゆけガイコッツ」


(ペラ助による次回予告つき)


「ウッハッハ、ウッハッハ、ウッハッハのハッ」という笑い声が軽快な元祖ED曲。
歌詞も「俺たちゃ天才!アッタマいいぞ!」「好っきなもの好っきなものダイナモンド〜」と、実に前向きで軽快である。
このガイコッツ、実はかなり強かったらしく、メカブトンの角をへし折り、タイムバタバッタンの足をへし折り、
幾度となく主人公の丹平と淳子を窮地に陥れた。しかし、最後はなぜか邪魔が入ったり自滅したりして敗北していたのだった。
この曲は毎回三悪がメカを作る場面で挿入歌としても使われていた。

ヤッターマン前期「天才ドロンボー


タイムボカン史上最大の人気作となったヤッターマン
そのEDには前作「それゆけガイコッツ」のイントロが使われているが、よく聴いていれば聞き分けは難しくない。
「ウッハッハ、ウッハッハ、ウッハッハのハッ」は「スッタモンダ、コッタモンダ、ヤッタモンダ〜〜」へと進化した。
この曲ではついに三悪を演じた小原乃梨子氏、八奈見乗児氏、たてかべ和也氏が軽快に歌い上げている。
歌詞も前作同様「俺たちゃ天才だ〜」と前向きであり、こちらもドロンボーがメカを作る際に挿入歌として使われた。

ヤッターマン後期「ドロンボーのシラーケッ」


善玉側の新メカ「ヤッターキング」の登場によりオープニングが一新。それに合わせてEDも一新された。
前期同様小原乃梨子氏、八奈見乗児氏、たてかべ和也氏が歌い上げているが、より調子づいたノリになっている。
「もうこんなに有名よ ドロンボーよ 悪役主役よ モテモテよ〜」と、三悪の人気も気分もまさに絶頂。
だが、そんな三悪を制するようにドクロベエ様も登場。終盤には、僅かながらやられ役の哀愁が見られる。
また、歌詞に「マンネリなんかはなんのその〜」とあるように、タイムボカンシリーズは早くも2作目にしてマンネリ展開の兆候が見え始めていた。
こうしてタイムボカンシリーズは「マンネリ打破」という新しい課題が与えられたのである。

ゼンダマン「これまたアクダマン」


(前半はOP。1:23秒あたりから)


3作目となるゼンダマンEDでは、これまでとは違って和風の渋い曲調になっている。
今回はシリーズの主題歌を担当していた山本正之氏が歌っている。
僅かに曲調から哀愁が漂うものの、歌詞は「悪いことするたびに人気がでちゃう そこがねらいよアクダマン」
と前向きであり、中でも「お色気の〜(ムーージョ)天才の〜(トボッケーー)力の〜〜(ドンジューローーー)ヨォ〜〜〜」
三悪の長所を示す歌詞が印象的である。

オタスケマン前期「アーウーオジャママン」


4作目の「オタスケマン」では、ついに全編にわたって哀愁の漂うエンディングテーマとなってしまった。
前作に引き続き、山本正之氏が歌っているが、三悪声優もコーラスやセリフで参加している。
歌詞の「アーウー」は当時の首相・大平正芳氏、「ホーホーホー」は前首相の福田赳夫氏の口癖であり、
歌詞に流行語が取り入れられたのはシリーズ内では異例である。
とにかく悲観的で、肝心の「アーウー」も落ち込み気味。三悪の女ボスであるアターシャの結婚願望までネタにされている。
最後の「今日もやられてなァ〜〜ァァァ〜アーア オッシイオッシイナーモーチョットーイ」が全てを物語っていると言える。
タイムボカンシリーズの斜陽は、すでにこの段階で始まっていたのかも知れない。
また、太平首相の急死に伴い、後期では「がんばれオジャママン」という曲に差し替えられた。
こちらは打って変わって軽快な曲だが、いささかやっつけ臭い感じがする。


ヤットデタマンヤットデタマン・ブギウギ・レディ」


5作目ヤットデタマンでは、タイトル通りなんと三悪のキャラソンではなくなってしまうのである!なんてこったい!!
一応ミレンジョ一味がメインのEDではあるものの、曲はひたすらヤットデタを連呼するのみ。
ノリもいいし、悪い曲では無いのだが…。
三悪のうち男二人の顔が異なる異色な作品であったが、こういう点でも異色の作品であった。
一応三悪のキャラソンとしては、「ミレンジョ・ララバイ」という曲が存在する。
余談だが、これまで三悪が善玉と戦うメカは八奈見乗児氏が演じるキャラが開発を担当していたが、
ヤットデタマンで八奈見氏が演じたジュリー・コケマツはついにメカを自作しなくなり、未来の工場から外注するようになった。
そして、次作のイッパツマンにもメカの外注は引き継がれる。

逆転イッパツマン「シビビーン・ラプソディ」


(事情によりFULL版)


本作以降3作続く、「○○○ーン・シリーズ」の1作目。
逆転イッパツマンにおいては、三悪のテーマソングとしてではなく、イッパツマンの登場人物が
三悪含めサラリーマンであることから、当時のサラリーマンへの応援歌といった感じになっている。
山本氏が後にリリースする「ナントカマンシリーズ」も、こうした応援歌としての側面が強くなっている。
それにしても「課長部長えらい、社長会長えらい、えらきゃクロでもシロになる」とは酷い話ではないか。
世の不条理に耐え、タイムレコーダーガッチャンガッチャン押して、シビビーンと頑張るしかない。
底抜けに明るい曲調で、落ち込むものの背中を押すシリーズ屈指の名曲である。
しかし、対する三悪のキャラソンは、「人間やめます」。タイトルからしてひどい。
「俺たちゃ天才だ」「悪役主役よ」と景気づけた三悪の姿は、もうない…。

イタダキマン「どびびぃーんセレナーデ」


昭和ボカンの最終作にして、「○○○ーン・シリーズ」の2作目。
作曲は山本正之氏であるが、歌っているのはきたむらけん氏。
しかしきたむら氏の声が山本氏に似ていたため、イタダキマンEDについて山本氏に「今回はサラリと歌えてますね」
とファンレターが来て驚いた、という逸話が有名。
前作の底抜けの明るさとは対照的に、しんみりと肩を抱くような優しい応援歌となった。
決して上から目線になることなく、底辺で嘆く者とともに今に見てろと士気を上げ、気持ちを盛り上げてくれる、これまた名曲である。
だが、マンネリ打破のために主題歌を降ろされた山本氏が、この曲に込めた真意は、我々が知るべきでは無いのかもしれない。


三悪はどうなったか。本作ではシナリオ構成が大きく変わり、イタダキマンと妖怪の戦いがメインとなってしまったため、
三悪の存在意義がほとんど無くなってしまったのだ。そのため、視聴者から「妖怪に頼らず、自分の力で戦ってください」
という投書が届き、劇中でネタにされた事件が有名である。
放送時間の変更やスタッフの入れ替えなども重なり、視聴率は低迷。
ついに最低限の26話を待たずして打ち切りとなり、ボカンシリーズは一時終了となってしまう。
だが、8年続いたボカン魂は、そう簡単に潰えることは無かったのである。

タイムボカン王道復古OP「悪役ドアが開く」


(OP曲だけど特例で紹介!)


平成の世、OVAとなってタイムボカンシリーズは復活。
全2巻のうち、1巻は歴代三悪が一堂に会するエピソードとなり、ついに名実ともに悪役主役となった。
それに伴い、OPもひたすら「悪」で韻を踏む勇ましいOPとなっている。
曲は悪くないが、惜しむらくは本編の映像と適当なイラストを繋ぎ合わせたクリップ。もう少しなんとかならなかったのか!

タイムボカン王道復古ED「さんあく18年」


で、こちらは王道のED。ついに三悪声優がEDに帰ってきた。
イントロには、「それゆけガイコッツ」「天才ドロンボー」のイントロが復活している。
18年(当時)の長い歳月と、来るべき新しい世代への切なる願いが込められた印象的な曲となっている。
「大人になったら大人しくなる そんな大人にならないで」───すでに過去の人となりつつある三人の言葉が心にしみる。
だが!シリーズの系譜はまだまだ終わらない。熱いボカン魂は、思わぬところから
アトランティスの噴火のごとく蘇ってくるのである。

セガサターン用ゲーム ボカンと一発!ドロンボー完璧版主題歌


(これも特例で紹介!!)


熱いボカン魂を受け継いだのは、あの「スーパーロボット大戦」のバンプレストだった!!
プレイステーションで発売されたシューティングゲーム「ボカンと一発!ドロンボー」にはOP曲はついていなかったが、
大幅な追加要素をもってセガサターンで発売された「完璧版」では山本正之氏による主題歌が追加!!
同社の「ボカンですよ」「ボカンGOGOGO」でも使われる名曲となる。
勇ましく、軽快で、「どんどんドロンボー」「ウッハッハ、ウッハッハ、ウッハッハのハッ」などの
懐かしのフレーズに加え、イタダキマンを除く全シリーズのタイトルが挿入され、ファンには涙モノである。

怪盗きらめきマン「フララン・ランデブー」


過去と未来を十字に結び、帰ってきたぞ新世紀!2000年の世の中にタイムボカンシリーズ復活!!
それに伴い、三悪も堂々復活!! …なのか?
EDを歌うは、ボカンシリーズのファンである甲本ヒロト氏。だが…
何コレ!??

リメイクヤッターマン「天才ドロンボー'08」


そして現代。皆様も周知の通り2008年〜2009年にかけて「ヤッターマン」は完全新作として復活したのです。
しかし!!エンディングは歌手とのタイアップ曲になってしまいました。なんてこったいこのスカポンタン!!
それでも挿入歌として天才ドロンボーの2008年版が登場。劇中の設定に合わせ「ドクロストーン」が「ドクロリング」に変更されています。

おまけ:実写版「天才ドロンボー


歴代三悪の栄光と敗北の歴史、いかがだったでしょうか。
「エンディングテーマで見るタイムボカン三悪史」まもなくお別れの時間となりまする。
果たして「底辺うごメモラー」うごマロ・メモンジョ・メタボーはこの三悪史にちょっとでも名を残すことができるのでしょうか。
それでは本日はここまで、次回更新でお会いしましょう。