【第1回「熱血硬派くにおくん・攻略編」はこちら】
【第2回「熱血硬派くにおくん・レビュー編」はこちら】
久しぶりだな。俺はKANDWAだ。
俺は真の男・逆噴射聡一郎氏の掲示を受け、真の男の真のゲームや真の創作を追い求めている。
去る2018年6月28日、Nintendo Switch版「アーケードアーカイブス 熱血硬派くにおくん」が配信され、もうすぐ1周年を迎えようとしている。
そしてEND OF HEISEIを迎え、俺たちははREY-WARの時代に生きている。
そうなれば、どんな時代がやって来るか?やがて来たるべきRAY-WARの近未来では光学兵器が一般化し、
ダニートレホはBEAM-マチェーテを握りしめ銀河を股にかけてKILLSし、
都市上空では殺人光線機銃を搭載した戦術ドローン部隊の壮絶な死闘が繰り広げられ、
ヤクザは殺人光線拳銃で武装し、無軌道高校生はLEDネオンライトモヒカンやLEDネオン特攻服に身を包み
プラズマヌンチャクやLEDネオンライトメリケンサックで武装してお前たちに襲いかかってくるのだ。
そしてもし、お前が光線銃ヤクザの殺人光線を浴びたなら
その肉体はたちまち光子分解されてこの世から消滅するだろう……END OF REY-WAR……………
そうならないためにはどうすれば良いか?
お前はいかなる時代にも適合する真の男になり、
さらなる知見を深め、REY-WARの時代を戦い、
生き抜いていく以外にあるまい。
前々回では、お前たちに真の男となってもらうべく「熱血硬派くにおくん」の攻略法を伝授した。
そして前回では、アーケード版「熱血硬派くにおくん」の真の魅力、
「くにおくん」シリーズの顛末と復活と未来、そして「真の男・くにお」の生き様を通じて
「平成」の先の時代、「令和」を生きるお前たちに「人助け」と「助け合い」の精神を伝えた。
多分最終回となる今回は、アーケード版「熱血硬派くにおくん」の海外版「RENEGADE(レネゲード)」や
ファミコン版をはじめとする「熱血硬派くにおくん」移植作の系譜と
アーケード版「熱血硬派くにおくん」について記された書籍などの解説を行う。
お前たちに、「真の男」として伝えるべきことは前回までですべて伝えた。
だがら本項は軽い気持ちで流し読みしてもらっても構わない。
「ダウンタウン熱血物語」以降の「くにおくん」シリーズのヒットの中で
ファミコン版以降、「熱血硬派くにおくん」は長い間移植に恵まれなかった…………
そんな「熱血硬派くにおくん」の系譜をさらに知りたいのなら、「続きを読む」を押せ。
【目次な】
- 海外版「RENEGADE」
- ファミコン版「熱血硬派くにおくん」
- N.E.S(海外ファミコン)版「RENEGADE」
- PS2版「オレたちゲーセン族 熱血硬派くにおくん」
- Nintendo Switch版「アーケードアーカイブス 熱血硬派くにおくん」
- 熱血硬派関連書籍
- 熱血硬派異聞・終章
海外版「RENEGADE」
「RENEGADE」…………「裏切り者」「背徳者」といった意味の英語だ。
そして、「熱血硬派くにおくん」の海外版のタイトルだ。
「RENEGADE」は、「熱血硬派くにおくん」のキャラクターを海外向けに差し替えるとともに
一部ステージのグラフィックも海外向けにローカライズされており
実質「ダブルドラゴン・プロトタイプ」とも呼べる作品だ。
これまで、自宅でアーケード版「熱血硬派くにおくん」および「RENEGADE」をプレイするには
アーケード版の基盤およびコントロールパネル一式を入手するか
法を犯す危険を冒してROMデータを違法ダウンロードし、PC上のアーケードエミュレータソフトで動作させるしか無かった。
だが、現代の俺たちには「アーケードアーカイブス・熱血硬派くにおくん」がある。
「RENEGADE」をプレイする場合、PS4版のアーケードアーカイブスでは
キャンペーン対象者のみの追加コンテンツとして配信されただけだが、
Nintendo Switch版アーケードアーカイブス「熱血硬派くにおくん」では
最初から「RENEGADE」を遊ぶこともできる。これもまた、Switch版の大きなアドバンテージだ。
他にも国内版との違いは「RENEGADE」では、デモ画面の音楽がならなかったり
スコアランキングが英字3文字になり、国内版にはないランキング入力BGMが流れたりするくらいで
あとは基本的に国内版「熱血硬派くにおくん」と変わらない。
だから「熱血硬派くにおくん」をクリアした真の男ならば
必ず「RENEGADE」をクリアする日が来るはずだ。
「RENEGADE」ダイジェスト
では、これからお前をもうひとつのMEXICOへ連れて行く。
コインを投入すると「Good Luck, KID!」というボイスが流れる……もちろん、英語だ。
そしてここから先は、「Get Lost,Punk!!(死ね、クズ野郎!!)」「Beat it Scum!!(ブッ殺してやる、カス野郎!!)」
といった聖キリストでも耳を引きちぎりたくなるようなスラングが飛び交う地獄だ。
なお、アーケード版ではプレイヤー名は「1P」、
ボス名は「BOSS」と表記されるのみなので、正確な名前はわからない。
(日本版同様、スコアランキングのデフォルト名から推測出来るかもしれないが俺はもう全て書き換えてしまった)
よって、キャラクター名は後述の「N.E.S(海外ファミコン)版」の名前に準ずる。
主人公は「Mr.K」だ。やはり「KUNIO」の「K」なのだろうか。
- ステージ1 地下鉄のホーム
ステージ開始時には国内版のようなデモシーンはなく、直接ステージが始まる。
「RENEGADE」においてもっとも大きな変更が加えられたのがこのステージ1だ。
アメリカには日本のような駅のホームがないので、アメリカンな
地下鉄のホームに変わり、電車には強烈なグラフィティが施されている。
だが、真の日本男児である俺は見逃さなかった。
荒々しいグラフィティの中に、異彩を放つ平仮名……「くにお」の三文字を!!
「Get Lost,Punk!!(死ね、クズ野郎!!)」
ボスの「JACK」。技などは「りき」と同じだ。
これくらい軽く片付けろ。
- ステージ2 埠頭
ステージ2の埠頭は特にローカライズ変更はない。
だが敵は強烈なメイクとファッションに身を包んだ凶悪なパンクス共だ。
ここが埠頭ではなく荒野や廃工場ならばもう「MAD MAX」の世界だ。
……が、これはMAD MAXではなくRENEGADEだ。
やはり例によってザコ戦の前にバイクパンクスが襲ってくる。
ジャンプキックで軽く片付けろ。
「Beat it Scum!!(ブッ殺してやる、カス野郎!!)」
ボスの「JOEL」。
前回の記事をちゃんと読んだ真の男なら恐るるに足りないだろう。
- ステージ3 ネオン街
ステージ3の歓楽街は看板などにローカライズが加わっている。
特に、ステージ中央の「旅荘みゆき」が「MOTEL TECHNOS」になっているのは強引だがなかなか上手い。
他にも「熱血硬派くにおくん」および「RENEGADE」はタイトー販売なので
「たのしいオモチャ」の看板は「TAITO」に変わっている。
ここのザコの女パンクス共の赤毛は獲物がトゲ付きの棍棒になっており実際怖い。ちゅういしろ。
やはりこの赤毛から片付けていくのが順当だ。
「Give up Fallen?(もう終わりか?)」
ボスの「KIM」。こちらもいろいろと圧倒的巨体だが
「みすず」の必勝パターンはこちらでも有効だ。
- ステージ4-1 ジャパニーズ・ヤクザのアジト入り口
あっという間に最終面だ。
ここでは画面左端の看板が英語になり、
ご丁寧に事務所入り口の見切れている看板までローカライズされている。
ドスヤクザは黒人になっている。
当然、ドスで刺されれば即死だ。ダッシュパンチとダッシュのヒット・アンド・アウェーでMEXICOの風となれ。
- ステージ4-2 ジャパニーズ・ヤクザのアジト内部
いよいよ、お前の裏切りと背徳の戦いもここで最終局面を迎える。
意外にもこのステージでは大きな変更点はない。
「AAAGH!!(ヴォー!!)」
最終ボスの「SABU」。
彼のみ、グラフィックは国内版と一切変更がない。
ステージ背景にも変更がないことを考えると、「RENEGADE」の最終ボスは
アメリカに進出してきたジャパニーズ・ヤクザ「SABU」で間違いないだろう。
国内版同様、この最終決戦では常に死がMr.Kの背後ににじり寄る。
SABUのピストルをおびき出しつつ黒人ドスヤクザを一人ずつ排除し、
SABUとのワン・オン・ワンに持ち込め。
海外版「 #RENEGADE 」もクリアした #アーケードアーカイブス #熱血硬派くにおくん #NintendoSwitch pic.twitter.com/8RXC04Ryf7
— KANDWA (@KANDWA) 2018年10月23日
- エンディング 〜裏切りの果てに〜
#RENEGADE ……「裏切り者」「背徳者」といった意味の英語だ。
— KANDWA (@KANDWA) 2018年10月23日
彼の「裏切り」の闘いの果てに待っていたものは。 #アーケードアーカイブス #熱血硬派くにおくん #NintendoSwitch pic.twitter.com/yRGD9xa4TP
こうして俺は「RENEGADE」をもクリアした。
「SABU」のアメリカ進出の野望を絶った「Mr.K」を待っていたのは、一人のベイブ。
そしてハグからの熱烈なキスである。
舎弟たちの拍手の渦の中、「くにお」と「ひろし」が熱い握手を交わす国内版とはえらい違いであり
完全に「ダブルドラゴン」のエンディングそのままだ。
よもや、Mr.KがRENEGADEした理由は「女が出来たから」ではないだろうな?
やはり「RENEGADE」でもステージ4をクリアすると10000点のスペシャルボーナスが入り、2周目に突入する。
海外アーケード版「RENEGADE」の話はひとまずここで終わりだ。次の話をしよう。
ファミコン版「熱血硬派くにおくん」
さて、「熱血硬派くにおくん」は1987年にファミリーコンピュータに移植されており、
プレイステーション2版「オレたちゲーセン族 熱血硬派くにおくん」が発売されるまで
ファミコン版が唯一の「熱血硬派くにおくん」の移植作であった。
これが、「熱血硬派くにおくん」が「シリーズ不遇の一作目」だと思っていた理由のひとつだ。
当然、当時のアーケードゲームとファミコンゲームとの性能差は圧倒的であり、
完全移植など夢のまた夢であった。また、アーケードゲームでは
客の回転率の高い省ボリューム・高難度のゲームが好まれたが
ファミコンゲームではそうはいかない。よって、各ゲームメーカーは
アーケードゲームをファミコンに移植するにあたり、
クオリティ低下の対価としてアーケード版からの難易度低減や
ファミコン版オリジナル要素などを追加し、より幅広く、長く遊んでもらえるように切磋琢磨した。
アーケードゲームのファミコン移植版の正しい楽しみ方とは、
そうした追加要素やアーケード版からの変更点を楽しむことだったのかも知れない。
ファミコン版「熱血硬派くにおくん」も例外ではない。
確かにグラフィックも、暴力描写も、難易度も貧弱になり、
情け無用の暴力ボイスもなく、BGMも後年に発売されたファミコン版「熱血高校ドッジボール部」*1と比べても雲泥の差だ。
そして、アーケード版のデモ画面で流れた「熱血行進曲」がアレンジ版しか流れない。
だからファミコン版はクソなのか?真の男には相応しくないゲームなのか?
決してそんなことはない。ファミコン版にはファミコン版だけの良さがあり、
そして「ダブルドラゴン」など、後のテクノスジャパン作品にも影響を与える要素があった。
よって、お前が真の男の中の男ならば、ファミコン版「熱血硬派くにおくん」もまた避けては通れないのだ。
今は亡きiモードアプリ版や、ニンテンドー3DSの背景テーマなどもファミコン版をベースにしたものであり、
ニンテンドーDSの「熱血硬派くにおくん すぺしゃる」に登場する「みすず」が
ファミコン版「熱血硬派くにおくん」での彼女のグラフィックを元にしていること*2を考えれば、
ファミコン版「熱血硬派くにおくん」の存在感、影響力の高さを少しは感じられるだろう。
ファミコン版の変更点について
さて、ステージダイジェストの前にファミコン版の変更点についていくつか話しておきたい。
何しろ、ファミコン版「熱血硬派くにおくん」は全4ステージなのは同じだが
各ステージに何かしらのボリュームアップ処置が施されており、
特にステージ4はラスボスの「さぶ」を除いてアーケード版とはまったくの別物だ。
よって、アーケード版で培ったテクニックはファミコン版でも通用するが
ファミコン版だけクリア出来るようになってもアーケード版をクリアすることは到底できないだろう。
「ファミコン版なら『りき』には絶対負けなかったんだ、アーケード版だって楽勝さ」
そう言ってアーケード版「熱血硬派くにおくん」に挑んだあいつは、
全身に赤黒い痣を作って駅のホームの外に投げ捨てられていた。
この後に及んで、まだアーケード版「熱血硬派くにおくん」を体験していない者は、
アーケード版との差異を心して読んでおくことだ。
さて、まず最初に語るファミコン版の最大の変更点はストーリーだ。
タイトル画面でしばらく待っていても、「熱血行進曲」が流れるデモは見られない。
代わりに表示されるのは、画面下をノコノコと歩いてくる「ひろし」。
すると、背後から接近したヤクザカーに「あ」という間抜けな吹き出しと共に「ひろし」は拉致され、
それを「まてえー」というこれまた間抜けな書き文字と共にバイクに乗った「くにお」が追いかけていく。
熱血高校に通うヒロシは、いつもみんなにいじめられていた。
そんなある日、一人の男が転校してきた。
彼の名はくにお!! 生まれながらの熱血硬派である。
見た目はこわいが、弱いものいじめが大キライな心やさしい男である。
いつのまにか二人は、親友となっていくのであった。
ところが、ある日ヒロシが何者かに誘拐されてしまったのだ。
くにおは、ヒロシを救いだすためたちあがった。
ストーリーの変更点、そしてお前が為すべきことは理解できたか?
アーケード版では「日々不良や暴走族やスケ番にボコボコにされる『ひろし』の仇を『くにお』が討ちに行く物語」であったが
ファミコン版では「『くにお』が何者かに拉致された『ひろし』を探す道中で『りき』『しんじ』『みすず』の一味と戦っていく物語」になっているのだ。
よって、アーケード版「熱血硬派くにおくん」のストーリーを「何者かにさらわれた『ひろし』を『くにお』が助けに行くゲーム」と記述されている場合、
十中八九ファミコン版のストーリー(残り一〜二割は「ダブルドラゴン」のオープニングで腹パンされて連れ去られるヒロインの『マリアン』)と混同している可能性がある。
ゲーム内容の変更はどうだろうか?
ゲームはレベル1〜3の難易度を選択できるようになり、数字が大きいほど難易度が上がる。
パンチ、キック、ジャンプキック、ダッシュパンチ、
えりつかみ、えりつかみキック、そしてこしかけパンチ。
アーケード版にあったアクションは全て再現されており、
無駄にRPGのレベルアップ要素を加えたファミコン版「ダブルドラゴン」のように
敵にダメージを与えてレベルアップしないとパンチとキックしか使えない、
ということもなく最初から全ての技が使える。
ファミコンではボタンが2つしか無いため、A+Bボタン同時押しで直接ジャンプキックが出る仕様になっており
これにより、しっかりボタンが同時押しされていればキックの出ていない「空ジャンプ」になることはない。
ジャンプキックの仕様も変更されており、アーケード版ではザコにジャンプキックを当てると
そのままダウンするが、ファミコン版ではジャンプキック1発でかがみ状態、2発目でダウンするようになった。
また、敵のかがみ状態からの復帰も遅くなったのでファミコン版ではザコからボスまで
(無論、ボスは事前に十分にダメージを与えておく必要があるが)
「ジャンプキックでかがませて、すかさずえりつかみキック→背負い投げ」のコンボを決めることができるようになった。
無論、邪道ではあるがハドソン謹製「ジョイカードmk.2」などの連射パッドがあるなら攻略はますます楽になる。
また、ときおりアイテムが出現することもあり、「P」アイテムを取ると
くにおが敵にダメージを与えた際にものすごい距離をブッ飛ばすことができる。
また、特定のタイミングで壁にジャンプキックすると体力回復アイテムである「おにぎり」が出現するらしいが、
おそらく狙って出せるものではないし、俺の経験上そんなものは必要ない。
敗北画面、勝利画面
前述のとおり、各ステージのボスに敗北してもボスの捨て台詞のボイスはない。
ファミコン版では、代わりにいつもの敗北BGMとともにボスの顔グラフィックと台詞が表示されるようになっているのだ。
(雑魚に敗北した場合は、真っ黒な画面に台詞のみ。)
りき
しんじ
みすず
さぶ(流石に「ヴォー!!!」ではない。)
では、こちらがボスに勝利し、ステージをクリアするとどうなるか?
おなじみのステージクリア曲とともに、今度は「くにお」の顔グラフィックが表示され、倒した奴らに向かって
「おめえら なめてんじゃねえぞ」と一喝するシーンが追加されている……!
これもまたファミコン版オリジナルの要素だ。
アーケード版におけるくにおの「ボイス」は「待てこの野郎!」「おうりゃあ!!!」しか無く、
ステージをクリアしてもくにおは無言だっただけに、この追加要素はFresh……新鮮だ。
では、残りの変更点については以降のステージダイジェストで話していく。
ステージダイジェスト
- ステージ1-1 駅のホーム
ステージ1はアーケード版とは多少違うが、駅のホームから始まる。
ゲームの難易度レベルによって背景が一部変化し、レベル1では青空だが
レベル2では夕焼け、レベル3では夜になる。
とにかく武器持ちも武器なしも関係なく確実に全滅させていけ。
ハードウェアの制約の関係上、画面内の雑魚は3人までしか現れない。
まだ残りの雑魚がいる場合、雑魚をひとり倒すごとに画面外から増援の雑魚が駆け寄ってくる。
画面右端はアーケード版同様即死ポイントになっている。
雑魚の襟をつかみやすいファミコン版では、文字通りちぎっては投げちぎっては投げして
雑魚を次々と殲滅することも可能だ。
雑魚を全滅させると、電車の扉が開いて中に入れるようになる。
そう、ファミコン版ではステージ間の移動があるのだ。
- ステージ1-2 電車内
こうしてお前は電車に乗り込んで「りき」の縄張りを目指す。
ファミコン版では場面移動の度に残り時間2分とくにおの体力が全回復する。
よって、「時間内まで逃げ回ればいいんだ!」とか考える
あほで間抜けな自称スーパーインテリジェントA.I.でもない限り、まじめに戦っていれば時間切れで死ぬことはない。
とにかくここでも雑魚を全滅させることだけを考えろ。
雑魚が全滅する頃には電車は目的地に到着するだろう。
最初の雑魚を倒したあと、最初に駆け寄ってくる雑魚をダウンさせて
こしかけたり立ったりを繰り返すと…………?
- ステージ1-3 新宿駅
電車内の雑魚を蹴散らし、電車を降りるといよいよ新宿駅のホームで「りき」との対決だ。
なお、当時テクノスジャパンの本社は新宿にあったらしい。
アーケード版とは違い、ファミコン版ではボスとは必ずタイマンでの対決となる。
雑魚との挟み討ちや羽交い締めを気にする必要がないので、思いっきり暴れてやれ。
ファミコン版の「りき」はアーケード版では使ってこなかったジャンプキックを使ってくるが
頻繁には使ってこないので、こちらもジャンプキックで応戦しろ。
やはり画面右端は即死ポイントだ。「りき」に十分にダメージを与えたら
えりつかみキックを叩き込み、ホームの外へ投げ捨てる事もできる!
……だが当然、ファミコン版の感覚でアーケード版に挑めば、お前は無様なEND OF SHOUWAを迎えることになるだろう。
- ステージ2-1 埠頭
ステージ2の埠頭では、アーケード版とは違ってまずザコ戦から始まる。
これにはゲーム上のちゃんとした意味がある。まずは目の前の雑魚を片付けろ。
やはり画面左端の海が即死ポイントだ。アーケード版の借りを返すがごとく、
ジャンプキックからのえりつかみでバシバシ投げ込め。
敵が瀬戸際にいる時は、そのままジャンプキック2発で蹴落としてやれ。
ザコ戦が終われば、今度はバイク戦がはじまる。
2台いっぺんに来たりはしないが、アーケード版よりもスピードが早いのでジャンプキックのタイミングも早めにいけ。
バイク部隊を全滅させると、爆発四散したはずの最後のバイクが残り、
「くにお」はそのバイクに乗って、次のシーンへ向かうのだ。
- ステージ2-2 バイクチェイス
バイクに乗ったくにおが向かったのは峠。
高速スクロールの中でバイクに乗ったチンピラ共を蹴散らす、
ファミコン版「熱血硬派くにおくん」を代表する、ファミコン版完全オリジナルステージだ。
バイクに乗ったくにおはAボタンで上側か下側、十字キーを入力している方向にキックを繰り出す。
よって、敵バイクの上側か下側に回り込めないと攻撃できない。
当然、敵バイクもキックで反撃してくるので、先手必勝だ。
なお、画面の一番下は崖になっており、万が一落ちると死ぬ。
画面下に行き過ぎないようにちゅういしろ。
ときおり、画面中央に「S」アイテムが出現することがある。
これを取ると、画面右上に「TURBO」と表示され
この状態でBボタンを押すとさらにスクロールスピードが加速する。
だが、このシーンでは進んだ距離よりも倒した敵バイクの数によってシーンが進むので
スクロールが早すぎるあまり敵を取り逃がしては意味がない。よく考えて使え。
そんなわけで敵バイクを一定数撃破すると、くにおは次のシーンへ進む。
- ステージ2-3 峠の頂上
ステージ2のボス、「しんじ」の愛車の前で対決だ。
ステージはアーケード版とは全くことなるが、
タイマン勝負になることと、攻略法は同じだ。
なお、引き続き画面の一番下は崖になっており、万が一落ちると死ぬ。
ここに「しんじ」を落として殺すことも出来そうにない。
画面下に行き過ぎないようにちゅういしろ。
つまりストイックにジャンプキック殺だ。
- ステージ3-1 夜の歓楽街
ステージ3の歓楽街ではチェーンかカバンで武装したスケバンどもと戦っていくが、
どちらも同じだ、ジャンプキックで蹴散らしていけ。もちろん武器持ちなので油断はするな。
ファミコン版ではアーケード版に比べてスケバンどもの体力も上がっているが、今まで通りの戦い方で問題はないだろう。
スケバンを全滅させた後は、左の店に入るか右の階段を登って移動する。
- ステージ3-2a 大広間
右の階段を登るといよいよ「みすず」のお出ましだ。
みすずの巨体よりさらに大きな畳が敷き詰められた大広間
(アーケード版にあった「旅荘みゆき」の大広間か?)
が対決の舞台だ。画面が固定されていて狭いためアーケード版の必勝パターンは使えないが、
なんとファミコン版のみすずにはジャンプキックが普通に決まる。
距離が近すぎると跳ね飛ばされることもあるが、襟を掴まれるか掴まれないかのギリギリの近距離なので
これまでのボス同様ジャンプキックがギリギリ当たる距離から連続ジャンプキックすれば
3回連続でHITしてダウンさせられる。むしろ、なかなかダウンしない分
単位時間分で与えられるダメージは多く、適切な間合いを取ればアーケード版よりもはるかに倒しやすく、恐るるに足りない。
が、連射パッドなしで戦う場合は少しでも連続ジャンプキックのタイミングが遅れるとみすずの接近とえりつかみビンタを許すことになるだろう。
状況を判断し、追い詰められないようにしつつヒット・アンド・アウェーで立ち回れ。
だが当然、ファミコン版の感覚でアーケード版のみすずに挑んで勝てるやつは絶対にいない。
「みすずなんで図体がデカいだけの雑魚だろ、ゲーセンでもジャンプキック連打で楽勝だよ」
……そう言っていたあいつは俺の制止も虚しく、歓楽街の路地裏で両頰を赤黒く腫らした無残な遺体となって発見された。
- ステージ3-2b バーの店内
さて、ステージ3-1 でスケバンを全滅させた後、左の店に入るとどうなるか?
そこは固定画面のバーの店内で、先程と同じスケバンが再び現れる。
そのスケバンを全滅させると、なんとステージクリア画面が流れて
「みすず」を倒さずしてステージ3をクリアしてしまうのだ。
恐らくはアーケード版で「みすず恐怖症」になってしまった哀れな腰抜けのための救済措置なのだろう。
だが、俺はここまでの記事でみすずはアーケード、ファミコン版どちらも恐るるに足りない相手であると解説したはずだ。
よって、俺の解説をちゃんと読んだ真の男であるお前にこんな救済処置は不要だ。
- ステージ4-1 ヤクザの事務所前
さて、いよいよファミコン版も最終ステージである。
ここでファミコン版と同じなのは音楽だけ(もちろんファミコン音源だが)。
ファミコン版ではドスヤクザが登場せず、代わりにステージ1〜3までのザコとボスが全て登場する。
……ボスも全て登場する?これについては、ステージ4-2 で解説しよう。
まず最初の事務所前では、ステージ1に登場したザコが再登場する。
真の男たる今のお前なら敵ではないだろう。全員片付けてやれ。
ザコを全滅させると、左右のビルの入り口が開かれる。
どちらの入り口に入るかで、すでにお前の運命は決まっている……
お前はもう、邪悪なるタルサ・ドゥームの魔術の中にいるのだ。
- ステージ4-2 ヤクザ迷宮
お前はヤクザの事務所前のザコを排除し、3つの入り口のいずれかから「さぶ」の事務所に突入したはずだ。
だがアーケード版とは大きく異なり、事務所に突入してもすぐに「さぶ」とのご対面とはいかない。
そこから先は固定画面の小部屋が無数に続く迷宮だったのだ。
小部屋の中では、ステージ1、2の棒持ちザコ、ステージ2のバイクザコが登場する。
出現するザコを2〜3人倒せば、奥のいくつかの扉が開く。
どの扉を選ぶかによって、「さぶ」に、そして「ひろし」に近づけるか、
それとも無限地獄を繰り返すかが決まる。
部屋を移動する度にくにおの体力と残り時間が回復するが、
当然、「さぶ」の元へたどり着けなければ延々と戦い続けなければならない。
正解のルートはひとつ……その上、ゲーム開始前に選んだ難易度によっても正解のルートは変わるのだ。
さらに、小部屋の中では「りき」「しんじ」「みすず」のいずれかが2〜3人ずつ出現する部屋もある!!
まさか!ヤクザ組織「三和会」はクローン技術をも得ていたというのか!?
当然、こいつらはボスなのでザコよりも耐久力が高く、大ダメージの「えりつかみ攻撃」も健在だ。
挟み撃ちにされないように立ち回り、ジャンプキックを叩き込んでいくしかないだろう。
最初は2人だけに見えても、3人目がいる場合どちらか片方を倒した時点で3人目が画面外から現れる場合もある。
ここでもアーケード版の経験が活きる。2人のボスに交互にジャンプキックを当て続け、2人をほぼ同時に倒せるようにすれば
後から現れる3人目とはタイマンが張れる。こうなれば比較的楽勝だ。
また、小部屋の中にはステージ3-2bのバーの店内につながっている場合もある。
ここは完全な行き止まりだ。とりあえず出てくるスケバンを全滅させれば
ステージクリア画面は流れるが、その先はステージ4-1の事務所入口に逆戻りだ……罠なのだ。
お前はまたしてもタルサ・ドゥームの魔術にしてやられたというわけだ…………!
- ステージ4-3 さぶの部屋
…………時は来た!お前は邪悪なるタルサ・ドゥームの魔術迷宮を乗り越え、
ついに諸悪の根源、タルサ・ドゥームたる「さぶ」を追い詰めた!!
やはりファミコン版では「さぶ」との決戦も一対一となる。俺のアーケード版攻略を思い出せ。
ファミコン版でも「さぶ」は当たれば即死の拳銃を撃ってくるが、
横軸がずれている限り弾には当たらず、やはり接近戦には弱い。
そしてお前の背後を狙うドスヤクザもいない。
ならばもう特に語ることはない。拳銃の弾に注意しながら「さぶ」に接近してジャンプキックを叩き込め。
目指す「ひろし」はもう目の前だ。
……俺がいいたいことはわかるな?
そう、ファミコン版にはあの凶悪かつ一撃必殺の「ドスヤクザ」がいない。
よって、ファミコン版の攻略法はアーケード版では絶対に通用しないのだ。
「俺はもうファミコン版『熱血硬派くにおくん』を毎日クリアした!
難易度別のステージ4-2のマップだって作ったんだ!
俺はもうアーケード版『熱血硬派くにおくん』だって怖くない!!」
……そう言って、俺の制止も聞かず意気揚々とゲーセンへ旅立って行った親友は、
腹部をメッタ刺しにされた無残な死体となって路地裏に転がっていた。
彼が毎日ファミコン版「熱血硬派くにおくん」を遊びながら作ったであろう
自慢の攻略ノートをあいつはお守りのように腹部に入れていたが、彼の命までは守ってはくれなかった。
腹部に入れられていた攻略ノートもズタズタに引き裂かれ、血で赤黒く染まって二度と読めなくなってしまった。
俺はあいつらを守ってやれなかった…………!
俺が、もっと早くドスヤクザと「さぶ」の攻略を完成させていたら、あいつは、
そして無謀にもアーケード版に挑んで逝った友たちは死なずに済んだかも知れない。
旅立つ前の自信満々の笑顔と、最期に見せた血色を失った土気色の死に顔を、俺は一生忘れることはないだろう……。
再三申し上げるが、アーケード版「熱血硬派くにおくん」とファミコン版「熱血硬派くにおくん」は似て全く異なる。
ファミコン版がクリアできたからといって、アーケード版がクリアできる訳では決してない…………!
俺はあいつらのような哀れな犠牲者をこれ以上増やしたくないんだ。
だからアーケード版とファミコン版の比較、そしてその双方の攻略記事をこうして書いているのだ。
最後に、俺が覚えている難易度レベル1でのステージ4-2最短ルートを教えよう。
俺を信じるか信じないかはお前次第だ。
(1) ステージ4-1事務所入口→ザコ全滅後、右のビルに入る
(2) 棒ザコ3人→全滅後、左の扉に入る
(3) 「りき」2人→全滅後、左の扉に入る
(4) バイク2台→全滅後、真ん中の扉に入る
(5) バイク3台→全滅後、右の扉に入る
(6) 俺の記憶に間違いがなければこれで「さぶ」の部屋に入れるはずだ。
- エンディング
こうして、俺とお前はファミコン版でも「さぶ」を討ち果たし、
奥の部屋に捕らえられていた「ひろし」を救出した。
命を張って駆けつけてくれた「くにお」を前に、顔を覆って号泣する「ひろし」。
そして、再び「くにお」と「ひろし」は固い握手を交わした。
大勢の舎弟たちの拍手喝采で迎えられるアーケード版に比べればやはり寂しいが、
どうでもいい。俺は、俺たちはWinner……勝ったのだ。
ひろし救出デモの後、「熱血行進曲」のバラード風アレンジが流れる中スタッフロールが流れ
最後に、真っ黒の画面に「終」の一字が刻まれ、ファミコン版「熱血硬派くにおくん」は文字通りの終わりを迎える。
……いかがだっただろうか。「熱血硬派くにおくん」のアーケード版とファミコン版との違いが少しは理解できたか?
特に最終面であるヤクザの事務所には大幅な改変が加えられ、アーケード版とは違った難しさがある。
(「迷路が面倒くさい」と言われればそれまでだが……。)
また、ファミコン版だけの「今まで登場したボスキャラがザコキャラとして使い回される」という傾向は
実質上の続編「ダブルドラゴン」シリーズでより顕著になる。
また、レベル1〜3の3段階の難易度は、「ダウンタウン熱血物語」以降
「やさしい」「ふつう」「むずかしい」の3段階難易度へと変化して「くにおくんシリーズ」のスタンダードとなった。
こうして、ファミコン版「熱血硬派くにおくん」には、ファミコン版「魂斗羅」「SUPER魂斗羅」、そしてゲームボーイ版「コントラ」などのように
後のシリーズ作品へと繋がる要素が確かにあったのだ。
俺が最初に「お前が真の男の中の男ならば、ファミコン版「熱血硬派くにおくん」もまた避けては通れないのだ。」と言った意味が理解できたか?
では、次の話に移ろう。
N.E.S(海外ファミコン)版「RENEGADE」
ファミコンに「熱血硬派くにおくん」が移植されたならば、その海外版「RENEGADE」もまた海外版のファミコン、
ニンテンドー・エンターテインメント・システム……通称「N.E.S」に移植されているのだ。
アウトロー同士の退廃的な暴力アクションを描いた「RENEGADE」はアメリカ・欧州でも大ヒットし、
「熱血硬派くにおくん」は国内ではファミコンにしか移植されなかったのに対し
「RENEGADE」は老舗メーカー「ナツメ」が移植した欧州セガ・マスターシステム版をはじめ
コモドール64、Amigaなど多数のホビーコンピュータに移植されている。
N.E.S版のゲーム内容はファミコン版「熱血硬派くにおくん」にアーケード版「RENEGADE」に準じた変更・改善が施された以外は
日本ファミコン版「熱血硬派くにおくん」と同じなのでここではほぼ画像のみのダイジェストでお送りする。
血に飢えた悪党の軍団に囲まれてしまった。
面倒な事に巻き込まれたくないが、逃げるわけにもいかないのだ。
こうなったら方法は一つだけ。あの荒くれ者たちを力で黙らせるしかない。今こそ、うなる拳と空を切り裂く蹴りの威力を見せるとき。
最後まで立っていられるのはどっちだ!────N.E.S版「RENEGADE」のストーリー
(くにおくん ザ・ワールド クラシックコレクション 公式サイトより)
- ステージダイジェスト
ステージ2のザコは日本ファミコン版のままだ
チェーンを持ったザコがいなければ買い物帰りの貴婦人に
暴行を奮っている光景にしか見えない……
「KIM」の服装はチャイナドレス風に変更。
名前からしてアジア系の暗殺者なのだろうか。
「SABU」の服の色が国内ファミコン版と異なる。
最終ボス「SABU」を倒すと、アーケード版のエンディングに登場したベイブすら登場せず
ピュルピュルピュルピュルという音と共にいきなりスタッフロールに移行し、
「THE END」の文字と共にゲームが終了する。
- 敗北画面
JACK
JOEL
KIM アーケード版と台詞が少し違うが言ってることはほぼ同じだろう。
SABU 台詞はJACKの使い回しだ。
- 勝利画面
Mr.K 「お前の強さは俺には及ばない。」
N.E.S版のグラフィック変更で好印象なのは、キャラクターの「歯」が白いドットで描写されていることだ。
この変更により、お面のようなノッペリとしたファミコン版「熱血硬派くにおくん」のキャラの顔に比べて
N.E.S版「RENEGADE」のキャラの表情には熱い血が通ったような印象だ。
N.E.Sのソフトは日本ファミコンとは異なる規格で作られており、
仮にお前がN.E.S版「RENEGADE」を入手したとしてもそのままではお前のファミコンで遊ぶことはできない。
よって、今まで日本でN.E.S版「RENEGADE」をプレイするには海外版ソフトとファミコンの間にコンバーターを噛ませるか
ソフトのデータをPCに吸い出す、あるいは法を犯す危険を冒してROMデータを違法ダウンロードし、
PC上のN.E.Sエミュレータソフトで動作させるしか無かった。
だが、2019年現在は「くにおくん ザ・ワールド クラシックコレクション」の収録タイトルの中に
ファミコン版「熱血硬派くにおくん」と「RENEGADE」も収録されている。
なので、Nintendo Switchと「アーケードアーカイブス 熱血硬派くにおくん」と
「くにおくん ザ・ワールド クラシックコレクション」を購入すれば
Nintendo Switchでアーケード版・ファミコン版両方の「熱血硬派くにおくん」「RENEGADE」を合法的に楽しむことができる時代になった。
余談だが、「くにおくん ザ・ワールド クラシックコレクション」にはファミコン版「ダブルドラゴン」シリーズ全3作も収録されているがいずれも海外版だ。
いくら「くにおくんシリーズ」のオマケとはいえこれはあんまりだ。
1作目はともかくダブルドラゴン2〜3にはステージデモや会話シーンがあるので是非とも日本語版も収録してほしかった。
PS2版「オレたちゲーセン族 熱血硬派くにおくん」
さて。アーケード版「熱血硬派くにおくん」の稼働からおよそ20年後の2006年。
ファミコン版、iモードアプリ版を経て、当時の最新ハード、プレイステーション2の力を持ってついにアーケード版と「見た目は」遜色ない「熱血硬派くにおくん」の移植作が登場した。
それが、のちに「アーケードアーカイブス」を展開する「株式会社ハムスター」がPS2で展開したシリーズ「オレたちゲーセン族」だった。
ちょうどこの頃は第二次くらいのレトロゲームブームの頃であり、
タイトーからは、同時期PS2で同社の名作アーケードゲーム(ただし一部PS移植版)を複数タイトル収録した
「タイトーメモリーズ上巻/下巻」の2作が発売され、さらに好評をえて
「タイトーメモリーズ2上巻/下巻」の2本も発売、
さらにPSP版「タイトーメモリーズ ポケット」も発売された。
2019年現在においてもなお、「タイトーメモリーズ」以外で移植されていないタイトーアーケードゲームは多い。
そして、セガのPS2版「SEGA AGES 2500」シリーズの開発から杜撰なリメイク作品ばかり作っていた「ディースリー・パブリッシャー」が切られ、
セガの「奥成洋輔」プロデューサーと株式会社M2によるシリーズの大改革、完全移植+αによって多くのセガファンを歓喜させ
「奥成洋輔P」の名を全世界に知らしめたのもこの頃だ。
「オレたちゲーセン族」に話を戻そう。
「オレたちゲーセン族」第一弾〜第二弾シリーズにはあの職人移植集団「株式会社M2」が関わっており、その移植度の高さに誰もが唸りを上げ、
「ゲーセン族」でのM2の「スクランブル」「タイムパイロット」「イー・アル・カンフー」などのコナミタイトルの移植実績は
後にニンテンドーDSで発売されたM2謹製「コナミ アーケードコレクション」に活かされた。
だが、「熱血硬派くにおくん」を含む第三弾以降のシリーズではM2は次第に外されていき適当な外注メーカーが移植を担当することになった。
その結果、移植のクオリティは大幅に低下し、多くのユーザーの反感を買うことになった。
移植の際にPC用アーケードエミュレータ「MAME」の発売当時よりさらに古いバージョンのソースを流用していたり、
「熱血硬派くにおくん」に至っては移植に使われたROMデータが海賊版であったことが有志の解析によって明らかになり、
コナミの名作STG「サンダークロス」の移植の出来が散々だったことでシリーズの評判にトドメが刺され
「オレたちゲーセン族」はひっそりとシリーズを畳むことになった。
株式会社ハムスターが「オレたちゲーセン族」を発売すべく獲得したレトロアーケードゲームIPが
「アーケードアーカイブス」として花開くには、それからまた10年近くの歳月を要した。
だが、アーケード版「熱血硬派くにおくん」の移植を長年待ち望んだ俺にとって、
ソースがPC用アーケードエミュレータであろうと、ROMデータが海賊版であろうと関係なかった。
くにおの頭身が高かった。昭和退廃時代の風景があった。
敵を殴る度に左右の拳に合わせて相手の首が左右に回転した。
「待てこの野郎!!」「なめんなよ!この野郎!!」といった残虐ボイスがあった。
そして何より真の「熱血行進曲」が聞けた。
PS2を通じて、俺の眼前に映し出されたのは紛れもなく、
あの日、あれほど憧れたアーケード版「熱血硬派くにおくん」だったのだ。
「オレたちゲーセン族」は、1ソフト1タイトルで約2000円と当時としても割高な価格に見合わせるべく、
ソフト本体に加え映像特典DVD、ゲームミュージックCD、公式ガイドブック、保存版インストラクションカード、解説書、
コレクションカードの6点を同梱した「豪華7点セット」となっている。
無論「オレたちゲーセン族 熱血硬派くにおくん」も例外ではなく、特筆すべきは完全同梱の特典DVDだ。
PS2はDVD再生機器も兼ねていたので、購入後すぐに特典DVDも楽しむことができた。
内容は、当時を懐かしむようなモノローグ映像、「熱血硬派くにおくん」1周クリアまでを描いた攻略映像、
そして、拳のマークが強烈に画面に叩きつけられる映像の中「ザケンジャネー!!オウリャ!!」
といった作中のボイスが凶悪にサンプリングされた強烈なブレイクビーツ・アレンジMV映像は今でも忘れられない。
Nintendo Switch版「アーケードアーカイブス 熱血硬派くにおくん」
長い間、純粋なアーケード版の移植に恵まれなかった中満を持して登場した「オレたちゲーセン族 熱血硬派くにおくん」の発売からさらに12年後、
その間にもWiiやニンテンドー3DSのバーチャルコンソールやらプロジェクトEGGやらでアーケード版、ファミコン版両方の「熱血硬派くにおくん」が移植されてきたが
2018年6月28日、ついにアーケード版「熱血硬派くにおくん」の決定版が登場した。
本記事を書くきっかけとなった「アーケードアーカイブス 熱血硬派くにおくん(Nintendo Switch版)」の登場だ。
ファミコン版から「熱血硬派くにおくん」の移植の歴史を追う旅もここが一つの終着駅、ようやく俺たちは現代のMEXICOに帰ってきた。
「アーケードアーカイブス」とは、2014年よりPS4で「オレたちゲーセン族」の株式会社ハムスターと
日本一ソフトウェアがアーケードゲームの名作を現行ハードで保管すべく始動した共同プロジェクトである。
PS4版アーケードアーカイブス版「熱血硬派くにおくん」はプロジェクト発足間もない2014年7月にはすでに配信されていたが、
Nintendo Switchの発売に伴い「アケアカNEOGEO」シリーズがSwitchでも展開、
追って「アーケードアーカイブス」シリーズもSwitchで展開され今日に至る。
当然、俺は2014年当時PS4なんて持っていなかったのでPS4版「熱血硬派くにおくん」は遊べなかったのだが
それでも俺は待った……いつの日か何らかの形でアーケード版「熱血硬派くにおくん」が再び遊べるようになる日を、ひたすら待った……
そして2018年6月28日、時は来た!!
Nintendo Switch版アーケードアーカイブス「熱血硬派くにおくん」では、
PS4版ではアーケードアーカイブスのテクノスジャパン作品3作以上購入した人のみ無料ダウンロードできた
「RENEGADE」が最初から遊べるほか、基本モードである「オリジナルモード」のみ中断セーブ対応、オンラインスコアランキングの対応と
最近のアーケードアーカイブスに共通して備わっている2つのモード(PS4版はアケアカ初期の作品のため未実装)と合計4つのモードが楽しめる。
また、昨今の16/4の画面比率に対応できる画面比率調整やブラウン菅のスキャンライン再現などのオプションもある。
では、Switch版アーケードアーカイブス「熱血硬派くにおくん」4つのモードについて解説していこう。
海外版オリジナルモード
海外版「RENEGADE」が遊べるモード。PS4版には未収録。
オプション設定は「オリジナルモード」と共有できるがオンラインスコアランキングには非対応。
なお、現在のアーケードアーカイブスには各タイトルの海外版やバージョン違いなどが遊べるモードが
シリーズ標準で収録されている。
ハイスコアモード
現在のアーケードアーカイブスで標準収録されているモードのひとつ。PS4版には未収録。
デフォルトのゲーム設定で、中断セーブ使用不可でハイ・スコアを競うモード。
ボタンの連射設定も使用不可だが、「熱血硬派くにおくん」にはもともとボタンの連射設定がない。
オンラインスコアランキングはオリジナルモードとは別に集計され、
画面比率の変更は反映されず、画面右側には現在のお前のハイ・スコアとトップ・ランカーが表示される。
タイトル画面、ステージ開始時のひろしが殴られるデモはスキップされる。
日頃から「オリジナルモード」でもゲーム設定を変更せず、中断セーブも使わずにプレイしている真の男ならば
「オリジナルモード」とプレイ感覚は変わらない。もてる全てを出し尽くし、ハイ・スコアを叩き出し、全国番格百人衆にその名を刻め。
お前が真の男なら出来るはずだ。ドスヤクザと「さぶ」の拳銃にはじゅうぶん気をつけろ。
キャラバンモード
現在のアーケードアーカイブスで標準収録されているモードのひとつ。PS4版には未収録。
お前は「ハドソン ゲームキャラバン」というイベントを知っているか?
ファミコン全盛期、まさにキャラバン(隊商)のごとく日本全国10数ヶ所を縦断したイベントで
「スターフォース」「スターソルジャー」といったシューティングゲームの日本一のハイ・スコアプレイヤーを決めるイベントだ。
スコアの集計プレイ時間には制限があり、予選は2分間、決勝は5分間でのプレイスコアを競う。
本モードはその「ゲームキャラバン」のルールに則り、デフォルトゲーム設定で制限時間5分間のプレイスコアを競うモードだ。
当然、こちらもオンラインスコアランキングに対応しオリジナルモード、チャレンジモードとはまた別にランキングが集計される。
このモードにも画面比率の変更は反映されず、画面右側には現在の残り時間と
お前のハイ・スコアとお前より上位のランキングが表示される。
タイトル画面、ステージ開始時のひろしが殴られるデモはスキップされる。
「熱血硬派くにおくん」はステージが進むほど敵を殴って得られる得点が高くなるため
キャラバンモードの攻略法はいかにステージ1〜3を早くクリアしてステージ4まで到達するかが鍵となる。
ステージ2冒頭、「しんじ」のバイク部隊に苦戦しているようではまだまだだ。
通常のゲームではまず雑魚をジャンプキック一発で倒せるまで追い込んでから、ボスが戦闘態勢に入る前に雑魚を全滅させるのが最善の攻略法だったが、
時間制限のあるキャラバンモードではそうはいかないかも知れない。一刻でもはやくステージ4へ向かうためには
さっさと雑魚の残りを3人にしてボスをおびき出し、危険を覚悟でボスを集中攻撃して倒し素早くステージをクリアする度胸と腕前が必要になるだろう。
なお、そうとう難しいが(不可能ではない!)「さぶ」撃破時にタイムリミット5分を過ぎるとエンディングデモと10000点ボーナスの後
2周目の1面が始まった直後に「時間切れ」となる。
…………こうして俺たちは長い長い旅路の果てに、アーケード版「熱血硬派くにおくん」移植の決定版にたどり着いた。
だが、これで満足するつもりはない。PS4の時代も、Nintendo Switchの時代も、いずれ終わる…………
新時代に相応しい、新たなハードの登場によってだ!
だからこそ、今もなお俺は願ってやまない……「熱血硬派くにおくん」がアーケードゲームの不朽の名作として
今後も語り継がれ、遊び継がれ、そしていずれ来るべき新たなゲームハードにも移植され
新時代の真の男となる男たちが、「くにお」と共に本当のMEXICOへと旅立つ日が来ることを…………!!
この記事を書いた俺も、それを読んでいるお前たちも、一連のシリーズ記事を熟読し、「熱血硬派くにおくん」を遊び継ぎ、
そして、「真の男」の生き様を語り継いでいかなければならない。わかったか。
熱血硬派関連書籍
さて、この記事もいよいよ2万文字を超えた。
お前たちに最後に語り継ぐのは、俺が蒐集したレトロゲーム書籍の中から選んだ
「熱血硬派くにおくん」について記された書籍の紹介だ。
株式会社ZEST「お宝ゲームの逆襲!」
「炎の料理人 クッキングファイター好」などの攻略本を刊行し、
コアなゲームファンから支持を得ていた「株式会社ZEST」が刊行したレトロゲームレビュー本。
それが「お宝ゲームの逆襲!」だ。
本書では72P〜73Pの見開きに渡って「松谷創一朗」氏の「熱血硬派くにおくん」レビューが掲載されている。
氏のレビューについては、前回さんざん引用したので今更語るまでもないだろう。
- 「お宝ゲーム」とはなにか
さて、本書の表題である「お宝ゲーム」とは何であろうか?
本書の帯には「“温故知新” 今蘇るプレミアゲーム」とデカデカと記され、
本書の冒頭、カラーページで描かれた「お宝ゲームベストセレクション」には
「メタルスレイダーグローリー」「コミックスゾーン」「レンタヒーロー」「バトルマニア大吟醸」「美少女雀士スーチーパイ(SFC版)」
とそうそうたるプレミアソフトが並ぶが、本編内でレビューされているソフトには
「ごきんじょ冒険隊」「天地創造」「FEDA」といった隠れた名作から、現代でもなお「クソゲー」の汚名を着せられた
「バンゲリングベイ」「燃えろ!プロ野球」までピンキリだ。これはどういうことか?
……おそらく、真の「お宝ゲーム」とは、秋葉原の中古ゲームショップのショウケースの中ではなく、
一人一人のゲーム人生の中にある、という事なのだろう。
実は本書でも、よくある「前書き」などで「お宝ゲーム」についての定義が語られている訳ではない。
ただひとつ「定義」と言えるものがあるとするならば、それは「家庭用ゲーム」という事だ。
なので、松谷創一朗氏がいくらアーケード版「熱血硬派くにおくん」の思い出を語ろうとも、紙面に紹介される写真はファミコン移植版のものである。
これにより、トンチンカンな事も起こっている。同書の「源平討魔伝」のレビューでは
トップビュー、サイドビュー、そしてBIGモードの3種類のアクションステージ、
最終ボス・源頼朝を倒すのに必要な「三種の神器」、そして印象深いエンディングメッセージなど
レビュアーが語っているのはどう考えてもアーケード版なのだが*3、紙面に紹介される写真はファミコン版「源平討魔伝」のものなのだ。
賢明な読者なら気づいているだろう、ファミコン版は「地獄から蘇った『平景清』が『源頼朝』を倒すべく鎌倉を目指す」という物語は同じだが
ファミコン版はRPG風のデジタル・ボードゲーム(ファミコンがなくても遊べるゲームシートとダイキャスト製「平景清」のコマ4つ付き)、全くの別物なのだ。
だったらせめてアーケード版を可能な限り忠実に移植したPCエンジン版を紹介すればよかったのではないか?
- 豪華インタビュー陣
「お宝ゲームの逆襲!」の魅力は、「わが心のお宝ゲーム」と題されたインタビューコーナーにもある。
何しろインタビューされているのが「香山リカ」「小島“メタルギア”秀夫」「雨宮“ゼイラム”慶太」「髙橋“名人”利幸」、
元ファミコン通信「水野店長&中治和也」(中治氏は同書内でも「バイキングの大迷惑」のレビューを寄稿)、
そして、「メタルスレイダーグローリー」キャラクターデザイン&メインプログラマー「☆よしみる&向井忠」といった超豪華メンバーが集結している。ここで名前を挙げたのはほんの一部だ。
中でも「小島秀夫」「雨宮慶太」両氏のインタビューは同書内でも「超絶輪人ベラボーマン」などのレビューを寄稿したライター
「佐口賢作」氏による、単なる質疑応答の繰り返しではなく佐口氏による語りも挿入されたドキュメンタリ形式となっており非常に読み応えがある。
「アイエエエ!?小島監督はともかくあの『ゼイラム』『未来忍者』そして『牙狼 〜garo〜』シリーズを手掛けた雨宮監督ナンデ!!???」とお思いの方もいるだろう……
理由は明白だ。雨宮監督は超が付くほどのゲーム好きだからだ。
「熱血硬派くにおくん」に興味を持ってここに来た方のみならず、ゲーム制作、あるいは漫画、小説……各種創作活動を志す者、そして真の男は
是非機会あらば騙されたと思って本書を手に取り、ゲームレビューのみならずインタビュー記事……
とくに、小島監督、雨宮監督、この両氏のインタビューだけでも目を通して欲しい。
映画を愛し、ゲームに生きた真の男と、ゲームを愛し、特撮に生きた真の男。
この二人の真の男の人生に、その言葉の中に、お前たちの人生の糧となる何かが必ずあるはずだ……!
リイド社「総天然色完全保存版 GAME遊II特別編集 帰ってきた名作ゲーム 1978〜1987」
もう一冊紹介するのは、今度はアーケードゲームの歴史と共に名作タイトルを振り返るゲームレビュー本「帰ってきた名作ゲーム」だ。
さて、お前たちは「GAME遊II」というゲーム雑誌を知っているか?
お前たちが知らなくとも無理はあるまい。元はリイド社が1993年5月から発刊していたアーケードゲーム誌「GAME遊」が
1994年8月からリニューアルされたのが「GAME遊II」であるわけだが、
その「GAME遊II」もまた1998年5月に廃刊になったのだから……
かく言う俺もこの本を手に入れるまでは知らなかった。
「帰ってきた名作ゲーム」巻末の「GAME遊II」本誌広告。
イメージキャラクターになぜかおじいちゃんを起用してしまった所が本誌の狂気と運命を物語っているようだ。
こうして「GAME遊II」は墓すら建てられる事なく、ゲーム雑誌界というメキシコの風に散った。
だが、他のゲーム雑誌とは一味違うアーケードゲーム雑誌を目指して邁進した彼らの魂は、
1994年9〜10月号の2ヶ月に渡って特集された「帰ってきた名作ゲーム」のコーナーを大幅加筆修正、
「総天然色」の名に恥じないフルカラー化を施して書籍化されたのち、ブックオフの100円棚から発掘されて今もなおこうして俺の腕に宿っている。
なお、執筆時点で俺は未所有だが、「帰ってきた名作ゲーム」には第2弾書籍もあるらしい。
さあ、お前たちよよく聞け。
この一冊に刻まれしは、ハッキリ言って「熱血硬派くにおくん」の1タイトルだけで本書を引き合いに出すにはもったいないほどの
「スペースインベーダー」に始まった激動の日本アーケードゲーム史を駆け抜けた真の男たちの死闘の記録だ…………!
- 本書はもう日本アーケードゲーム界の歴史教科書…聖遺物(イコン)だ
さて、「帰ってきた名作ゲーム」では文字通り「インベーダーブーム」が全国を侵略した日本アーケードゲーム史の始まりである1978年から
激動のバブル時代、風営法改正によるゲームセンターの変化、
大型筐体が各店舗を圧巻し、アーケードゲームがゲームの最先端だった
昭和の終わり、平成の始まりを目前とした1987年まで9年間のアーケードゲームの名作を
年ごとに一つの章として1ゲーム2ページの見開きでレビュー・解説している。
何しろ本書の一番最初に記されたゲームは「スペースインベーダー」ではなく
任天堂の元祖テーブル筐体「コンピューターオセロ」なのだから恐れ入る。
本書に名を連ねるゲームたちに、クソゲー、バカゲーの類は存在しない。
「パックマン」「ギャラクシアン」「トランキライザーガン」「ラリーX」「スターフォース」「ポールポジション」「ツインビー」
「モナコGP」「クレイジークライマー」「ドンキーコング」「ムーンクレスタ」「ミサイルコマンド」
「グラディウス」「源平討魔伝」「ハングオン」「スペースハリアー」「アウトラン」
「アフターバーナーII」「ダライアス」「R-TYPE」「ストリートファイター」「ファイナルラップ」……
これらは収録タイトルのほんの一部に過ぎない……お前が真のゲーマーならば、いくつかその名を聞いたことのあるタイトルがあるはずだ。
いずれも、RAY-WARの時代になってもなお愛され、現行ハードにも移植・復刻され続ける名作ばかりだ。
「熱血硬派くにおくん」は本書の後半、「1986年」の作品として166〜167ページに記されている。
さて、本書は「古いゲームファンにはもう一度過去の作品を見つめ直してもらい、
新しいゲームファンには、その素晴らしさを伝えたい!」
……そんな高尚な理想があったかどうかは知らないが、記されているゲームの楽しさが
最新ゲームの紹介のごとく如実に伝わってくるワクワク感に溢れたレビュー文に加え、
当時の筐体写真、ゲーム広告、メインイラスト、関連商品写真がフルカラーで紙面を彩り、見ているだけで楽しい。
そしてそれ故に、日本アーケードゲーム史の資料としての価値も極めて高い…………はっきり言って俺の手には余るほどだ。
特にインベーダー前後の70年代のゲーム広告の写真はこの本に記された写真だけでも値打ちがつきそうだ。
いつの日か俺がメキシコの風に還る日が来たら、この本はヨーロッパにあるゲーム博物館に寄贈したい所存だ。
レビュー文の中には家庭用との混同や記述ミスもあるが、それはインターネットも普及していなかった時代なのでご愛嬌だ。
そして、下記のいくつかのカコミ記事がゲームをさらに詳しく紹介・解説している。
☆1POINT
各ゲームの重要な攻略法や、ゲームの魅力・関連作品などのワンポイント解説。
「熱血硬派くにおくん」では、ファミコンやスーパーファミコンで展開された「くにおくん」シリーズを紹介。
☆[1作目を超えた!?]続編ゲーム
記されているゲームのアーケードでの続編の紹介。
シリーズ作品となったゲームはもちろん、ゲームによっては普通のゲーマーならまず知らないようなマニアックな続編まで網羅されている。
「熱血硬派くにおくん」ではアーケード版「熱血高校ドッジボール部」を紹介。
☆[部屋がゲーセンになる!?]移植ゲーム
記されているゲームのファミコンなどの家庭用ハードに移植された作品および家庭用独自の続編の紹介。
家庭用ハードがなかった時代の作品でも、後年に家庭用ハードに移植されていれば紹介される。
たとえば1979年稼働の「ギャラクシーウォーズ」には1994年にイマジニアからスーパーファミコン版が発売されている。
「熱血硬派くにおくん」では、ファミコン版「熱血硬派くにおくん」を紹介。
☆名盤・廃盤CORRECTION
記されているゲームの音楽CD、レコード、あるいは映像ビデオの紹介。
「熱血硬派くにおくん」には当時そういうのは無かったのでこのコーナーもない。
- 日本アーケードゲーム黎明期の生き字引たちの「メモリアルインタビュー」
さて、本書では年ごとに章分けされ、章の合間には昭和のアーケードゲームを彩った「基盤」「ゲームグッズ」
「ファミコン以前の家庭用ゲーム、電子ゲーム」「音楽CD、映像ビデオ」「インストラクションカード」
そして、多くのゲーセン少年を熱狂させた漫画「ゲームセンターあらし」といった特集コラムと、
ゲーム業界にとどまらない各界の著名人による一人1ページのアーケードゲーム黎明期の思い出語り「メモリアルインタビュー」が挿入される。
この「メモリアルインタビュー」が前述の「お宝ゲームの逆襲!」にも負けず劣らずの超豪華メンバーだ。
まずトップバッターからして「田尻“ゲームフリーク”智」「古代“エインシャント”祐三」なのだから本気度がうかがえる。
その後も「渋谷“ハイローラー”洋一」「“ザ・ドリフターズ”高木ブー」「“ゲーム帝国初代語り部”TACOX」「遠藤“ゼビウス”雅伸」
「山下“マイコンBASICマガジン”章」「内藤“ランドストーカー”寛」「“カルロス”とみさわ昭仁」「“Mr.マイブーム”みうらじゅん」
……と錚々たる顔ぶれだ。もちろん、これもほんの一部だ。
そして最後を飾るのは、「平安京エイリアン」の開発メンバーの元東大生2人へのインタビューと、
その「平安京エイリアン」が「東大生が作ったゲーム」であるとも喧伝した「ゲームセンターあらし」の作者「すがやみつる」先生だ。
ここに名を連ねし真のゲーム戦士たちは、まさに「スペースインベーダー」の侵略の時代を生き延びた日本アーケードゲーム史の生き字引。
語られるのは、日本ゲームセンター黎明期のかけがえの無い純粋な思い出たち。
みんな、親の財布からこっそり小銭をくすねてインベーダーハウスに通い、
怪しいプレハブの小屋の中で海賊版のインベーダーをプレイして肩を落としたりしながら、真のガンスリンガーになって歴史にその銃弾を刻んだのだ。
- 選ばれたる真のアーケードゲーマー・レトロゲーマーに是非所有して欲しい一冊
……章タイトルの通りだ、そういうことだ。
この「帰ってきた名作ゲーム」が現在この世界に何冊残っているかは知らないが、
それを手に入れることができた者は……Destiny……運命に選ばれた真の男なのだ。この本を後生大事にしてくれ。
未だ手に入れられておらず、それでもなおこの本を読んでみたいという者には、果てしない苦難の旅が待っているだろう……
しかし、ブックオフの100円棚から偶然発見できた俺のように、お前が運命に導かれた真の男ならば、運命は向こうからお前の目の前に現れるかも知れない。
一人でも多くの真の男、真のアーケードゲーマーに「GAME遊II」を生み出した真の男たちの魂が宿った「帰ってきた名作ゲーム」の書が行き渡ることを、俺は祈るばかりだ。
熱血硬派異聞・終章
さて、軽く読み流せるコンテンツにするつもりがもう28000字を超えてしまった。いつものことだ。
最後に、俺がなぜ3記事に渡って「熱血硬派くにおくん」について語ってきたか、語り継がねばならないと思ったのか……
その本当の理由について話そう。
この世には、ゲーム黎明期、あるいはファミコン時代からRAY-WARの現在まで続く名作シリーズが多々存在するが、
お前たちはその「一作目」を意識したことが、プレイしたことがあるだろうか?
俺はいかなる長期連載の漫画であろうとコミックスの第1巻、第1話から読み始めなければ気が済まないタチであり、
ゲームにおいても同じだ……人気・長寿シリーズであればあるほど、その「1作目」からプレイしてみたくなり、
実際いくつものシリーズ作品の「1作目」をプレイしてきた。
そうして分かったことがある……人気シリーズの中には、2作目以降で人気が出たために歴史に隠蔽された
「悲劇の1作目」が数多く存在することを……!
1作目ゆえのゲームバランスの悪さ故に、それらが改善された「ストリートファイターII」の人気に追いやられて黒歴史と化し、
プレイステーションの「カプコンジェネレーションズ」にも収録されずPCエンジンCD版「ファイティングストリート」意外長らくまともな移植がなかった「ストリートファイター」、
シリーズ中でもっともスクウェア色が強く、リアルタイム・国取りストラテジーとして高い完成度を誇るもいろいろ分かりにくいので
スーパーファミコンの続編「半熟英雄 〜ああ、世界よ半熟なれ…!〜」ではただ面倒くさいRTSもどきのRPGになってしまったファミコン版「半熟英雄」、
ハドソンがソースデータを紛失したために移植・復刻が絶望的になったファミコン版・初代「桃太郎電鉄」、
プレイステーションで発売されるも、めちゃくちゃな難易度と同人臭さからアーケード版の続編「ギルティギアX(ゼクス)」の陰に隠されてしまった初代「ギルティギア」……
アーケード版「熱血硬派くにおくん」もまた、「ダウンタウン熱血物語」以降の路線が「くにおくんシリーズ」として定着し
ファミコン版以降、PS2「オレたちゲーセン族」までまともな移植に恵まれなかったことは話したとおりだ。
だが、そうした「悲劇の1作目」こそが、その恵まれない背景も含めて、俺の魂を魅了してならないのだ。
ここに挙げたいずれのシリーズも、「1作目」が持っていたものを全て残したままシリーズとしてヒットしていったわけではない。
まるで少年が社会に揉まれて大人にされていくように、失われたもの、忘れられたもの、こぼれ落ちたもの、捨てられたものが少なからず存在する。
それ故に、「1作目」だけが持っている「何か」がより輝きを増していく。
無論、「1作目だけが持っている、やがて失われゆく何か」は「誰もが不朽の名作と仰ぐ伝説の第1作」にももちろん例外ではない。
度重なる移植やリメイクによって、書き換えられたり削ぎ落とされたりした「何か」は確かに存在するのだ。
お前はファミコン版「ドラゴンクエスト」で人に話しかける時「きた」「みなみ」「にし」「ひがし」から
人のいる方角を選んで話しかけなければならなかったことを知っているか?
あるいはファミコン版「ファイナルファンタジー」でバハムートに試練の証を渡してクラスチェンジすると、戦闘画面の2頭身のキャラが4頭身になることを知っているか?
そしてファミコン版「スーパーマリオブラザーズ」で例の無限増殖技が成功しても、途中で途切れることがあることを知っていたか?*4
シリーズ1作目だけが持っている何か。それはたとえシリーズとしては汚点であっても俺にとってはかけがえのない、1作目でしか体験できないものだ。
初代「ストリートファイター」の波動拳、昇竜拳、竜巻旋風脚の凄まじき威力(それ故アーケード版稼働当時はコマンドが秘密になっていた)、
ゲーム終盤の「アドン」、そして最終ボスの「サガット」の異常なまでの強さ、
そして巨大な感圧ボタンをブッ叩く強さでパンチ・キックの強中弱が決まる専用コンソール。
初代「半熟英雄」の最もスクウェアらしいマップ画面、植松伸夫氏による四季折々のマップBGM、後のシリーズでは消えてしまったり
大幅な変更が加えられたエッグモンスター達、マップ3の絶妙な難易度、4種のモンスターによる「おはらい」の組み合わせで決まるエッグモンスター。
初代「桃太郎電鉄」の貧乏神・キングボンビーのいない平和な世界、サイコロイベントに現れる「ちびっこカメラマン」「甲子園出場する地元の高校」
「オレンチカード」「駅のホームのチューリップの花壇」「凍った線路を徹夜で復旧する作業員」などなど、
「こんげつの せいせきを ほうこくしてください!」の一言ではとても片付けられない人々の息吹。
初代「ギルティギア」の波動拳が出せれば誰でも簡単に出せて、誰でもほぼノーリスクで逆転のチャンスがあり、そしていつでも即死のリスクをつきまとわせた「一撃必殺技」、
超かっこいい最終ボス「ジャステイス」の復活シーン、ゲームに興味のないヘビメタリストさえ魅了したBGM、そして全ての因縁のはじまり。
そしてアーケード版「熱血硬派くにおくん」の頭身の高い真の男たちのR.E.A.Lな闘い、「くにお」と「ひろし」の真の友情の物語、荒いドットで緻密に描かれた昭和退廃時代の風景、真の「熱血行進曲」……
そのいずれもが俺の魂を熱くさせ、そしてこの世界で俺ひとりしか理解できないものと思っていた……
だが時代は変わった。「ヴァーチャルコンソール」や「アーケードアーカイブス」「セガ3D復刻プロジェクト」などのたゆまぬ努力により
レトロゲームは「一定層に確実な売り上げが見込めるジャンル」として認められ、やがてメーカーは黒歴史として切り捨ててきた「悲劇の1作目」に目を向け始めた。
ニンテンドー3DSなどのヴァーチャルコンソールにファミコン版「半熟英雄」が移植された。
2018年に発売された「ストリートファイター30th アニバーサリーコレクションインターナショナル」には、ついに初代「ストリートファイター」が移植された。
2019年5月には、「ギルティギア」20周年を記念して初代「ギルティギア」がNintendo Switchダウンロード専用ソフトとして破格の安さで移植された。
そして今、俺の手には「アーケードアーカイブス 熱血硬派くにおくん」がある。
もう「悲劇の1作目」などと俺が勝手に呼んでいたものはこれから少しずつ見直され、その全てが「不朽の名作」へと変わっていく時が来たのかも知れない。
ならば、もうこれ以上俺が語ることはもうあるまい。
お前たちに託すもの、話すことはすべて話した。すなわち別れの時だ。
随分長い昔話になった。俺はこの3つの記事をここに残し、現在というメキシコへ旅立つ。
俺の「真の男」を目指す闘いはまだまだ続く。
この世にゲームが存在し、今週も来週もその先もゲームが発売され続ける限り、
俺がメキシコの風に還るその日まで、俺は戦い続けるつもりだ。
もちろん、「アーケードアーカイブス 熱血硬派くにおくん」のスコアアタックも可能な限り続けていく。
そして俺は願う。いつか、俺の記事を読んだ者が真の男となり、
「アーケードアーカイブス 熱血硬派くにおくん」で俺と「番格」を争う日が来ることを……
*1:「熱血高校ドッジボール部」では、「熱血硬派くにおくん」の各種ジングルがそのまま使われている
*2:2019年発売予定の「ダウンタウン乱闘狂想曲マッハ!」では、「みすず」のアーケード版に近い新規ドット絵がようやく用意された。
*3:なのに文中では「ファミコン独自の操作感の悪さが〜」とか書いてあって、いよいよわけがわからない。
*4:無限増殖中に途切れた場合、マリオが着地した点で少し前進したのち、垂直にジャンプすると再開できる。続編の「スーパーマリオブラザーズ2」および「スーパーマリオコレクション」版では敵を踏みつけた際の挙動が変更されてタイムアップまで途切れなくなった。