どくのメモ帳

どくイモムシの毒吐き場。ゲームレビュー記事「超ファミコシ珍拳EXPRESS」も連載中。

ナビス語り 完結編

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ワールドうごメモギャラリー」で好評だった後、現在YoutubeKANDWAのうごメモチャンネル」にて

毎週月曜〜金曜日夜19:00に連載公開されていた「ナビス」シリーズ、その最後のコメンタリー記事です。

 

※コメンタリーには各話のネタバレが含まれる場合がありますので、心配な方は先に動画の方を閲覧していただくことを強くオススメします。

 

www.youtube.com

 

「ナビス」第1シリーズだけを観るなら→【こちら】

 第2シリーズ「ナビス2」だけを観るなら→【こちら】

 第3シリーズ「ナビス3」および「ナビス完結編」だけを観るなら→【こちら】

 

 

ナビス完結編 前編「天使」


ナビス完結編 前編「天使」

 

【晩年の主人公の家族構成】

主人公

主人公の妻(主人公より先に他界)

 「ナビス3 #13」に登場した「主人公の彼女」。

 「紅夜事件」でのナビス戦闘機の銃撃により片眼を失明するが、退院。

 その後、主人公の「僕が一生貴女の片眼の代わりになります!!」

 というプロポーズを受けて、主人公と結婚。

 時は流れ、年老いて主人公より先に他界してしまいましたが、

 主人公は「一生失った片眼の代わりになる」という約束を最後まで果たしました。

 

・主人公の娘「菜美子(なみこ)」

 名前の読み方を変えると…………?

菜美子の夫

・菜美子の娘、主人公の孫娘「菜々(なな)」

 

【ナビスを育てた男の最期】

…………というわけで、「ナビス」シリーズには「完結編」が作られました。

「前編」となるこの話では、ナビスと共に過ごしてきた主人公の晩年、そして最期の物語が描かれます。

 

「ナビス3」最終回から50年後

人々を脅かした悪しきパープル・リリパットの脅威も人々の記憶から消え始め、

小学生の間で「ムラサキコビト」という都市伝説が流行したのも昔の話。

 

退院した「彼女」と結婚したのち、幸せな家庭を築き、やがて年老いた主人公は孫娘「菜々」に

お伽話のように「ナビス」の話をしてあげるのでした。

「ナビス」のお話に影響されて、彼女自身もナスビを育てると決意した菜々。

そして主人公は、ナビス達が家を出て行ったところまで菜々に話し、

「この続きは菜々がおいしいナスビを実らせることができたら話してやろう。」と約束するのでした。

 

そして、それから20年後(「ナビス3」完結から70年後)。

ついに、病院のベッドの上で主人公にも最期の時が訪れます。

「ナビス」の時点で20歳くらいだった主人公は、90歳くらいまで生きたことになりますね。

 

朦朧とする意識の中、主人公の前に舞い降りたのは、「主人公がいちばん最初に育てたナビスの天使」。

そして、もう一匹舞い降りて来たのは、「最後のナビスの天使」。

二匹のナビスの天使達は、主人公の魂を迎えに来たのでした……

そして、主人公も自らの死期を悟ります。

 

やがて、二匹のナビスの天使に連れられて主人公の魂が舞い上がると、

主人公の魂は笑顔でいっぱいのたくさんのナビス達の輪をくぐって天国へ旅立ちます。

 

そして主人公は口にします。

「私は今 一番、幸せだよ…………!!!!」

 

上記のセリフは、小学生の頃に描いた「ナスビ仮面の冒険」のラストで

産まれたての5匹の子供に囲まれた「ナスビキング(=ナスビ仮面)」が、「ぼくは今いちばんしあわせだよ」

と泣きながら口にしたシーンのセルフオマージュでした。

かたや新たな生命の誕生、かたやひとつの生命の終わりに同じようなセリフが使われたのには、運命的なものを感じます。

 

こうして、最期までナビスと共にあった主人公は、その魂はナビス達に迎えられ、

その肉体は大切な家族に見届けられ、しめやかにその幸福な人生と、その物語を終えたのでした。

 

そして私KANDWAは、生まれてはじめて心から真剣に、一人の人間の一生の終わりを描きあげました。

 

……私KANDWAにも、いつか必ず死が訪れる。

その時私の目の前には、どんな光景が広がっているのだろうか。

私の側には誰が居てくれるのだろうか。

私は、最期まで幸せだったと言えるだろうか。

そして、その先には、何が待っているのだろうか…………

 

………………この手の話を考え出すと恐ろしくてたまらなくなるので一旦止めにして、

とりあえず非業の最期だけは迎えないように日々をしっかりと生きていきたいと思います。

 

 

ナビス完結編 後編「楽園」


ナビス完結編 後編「楽園」

 

 【もう一匹の最後のナビスの冒険】

このKANDWAができる、「ナビス」という種族と、物語につけるせめてもの「償い」。

それは、「ナビスの絶滅を防ぐ」こと。

そして、「ナビス達を読者の心の中で永遠に生き続ける存在にする」こと。

 

そのために私は、「ナビス」作者として、うごメモ作者として持てる「力」を出し尽くしました。

 

人間たちがナビス帝国に迫りくる、あの日の大晦日

ナビス達の最後の夢と希望を載せて、たった一機だけナビス帝国の基地に残っていた戦闘機に乗り込んで、

市民ナビスの中の一匹が「本当の自由」を求めて旅立っていきました。

 

皇帝ナビスの支配・統治による市民ナビス達の平穏と安寧。

しかし、その中にあっても外の世界への憧れを抱くナビスがいなかったわけではなかったのです。

 

こうして、「最後のナビス」は、もう一匹いたことになったのです。

人間たちがナビス帝国を蹂躙するのを背に、もう一匹の最後のナビスを乗せた戦闘機は

山を抜け、町を、川を飛び越えて、ついに海にまで飛び出します。

戦闘機内のタンクの飲み水が空になっても、雨水がナビスを助け、

戦闘機の動力である電池が切れてしまっても、激しい潮風がナビスと戦闘機をどこまでも運んでいきました。

 

そう。多少強引でも、もう一匹の最後のナビスを本当の「楽園」に導くために。

もう一匹の最後のナビスを、「新しい始まりのナビス」にするために。

 

そして、もう一匹の最後のナビスの旅立ちから2週間後、

潮風に乗って飛び続けた戦闘機もついに墜落。その落ちた先は、地図にも載らない小さな無人島。

戦闘機は墜落し粉々になるも、ナビス自身はどうにかパラシュートで脱出し、辛くも無事でしたが、

長く過酷な旅の果てに力尽き、「新天地」の土に倒れることになりました。

 

しかし、もう一匹の最後のナビスの亡骸は、新しい大地にしっかりと芽を出して…………。

 

そして、それから70年後。

小さな無人島には、野生に還り新たな繁栄を遂げたナビス達の姿がありました。

植物のツルを縄跳びにして赤ちゃんナビスと遊んであげる大人ナビス達。

なにかの植物の茎を笛にして奏でる子ナビス達。

水たまりで戯れる赤ちゃんナビス達と子ナビス達。

木の穴の中で風雨をやり過ごすナビス達。

そして、「ナビス畑」からの、新たなる生命の誕生。

 

こうして、小さな生命「ナビス」は、新しい「楽園」で、誰の支配を受けることも、

人間の目に触れることも、文明の過ちを犯すこともなく、この星の片隅でいつまでも生命を繋ぎ続けていくことになったのです。

35年以上文明の恩恵に甘やかされて生きてきた人間無勢が、今更文明を「過ち」などと吐き捨てるのは少々おこがましい気がしますが……。

 

そして、願わくば読者、視聴者たちの心の中でも、ナビス達が永遠に生き続けてくれますように……。

 

なお、最後の「完」の字が本当に一瞬しか表示されませんが、これは「うごくメモ帳3D」で

描くことができるページ数の限界(999ページ)までお話を詰め込んだからです。

 

 

ナビス完結編+ 「物語」


ナビス完結編+ 「物語」

 

【2021年、ナビスシリーズ最後の描きおろし】

 2020年11月。「ナビス」シリーズをYoutubeで連載していくにあたって、かねてから考えていたことがありました。

ワールドうごメモギャラリー当時は、「ナビス完結編 後編」の投稿でナビスシリーズを完結させた後、

エンドカード」として以下のイラスト(実際は2コマによる簡易アニメーション)を投稿しました。

 

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しかし、この2コマのアニメーションをそのままYoutubeに投稿しても、再生時間はほぼ一瞬。

また、「ナビス達のことを忘れないでね。」というメッセージは、「うごメモ天使はかなちゃんFINAL」最終回でもやったように

 

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昔の仮面ライダー玩具CMの最終回後専用バージョンのオマージュなのですが、

 「ナビス」に限っては、「ナビス3」で私がナビス達に与えた運命の落とし前として、

「ナビス達を読者の心の中で永遠に生き続ける存在にする」と決めたのに、今更「忘れないでね。」などとお別れムードにするとは何事か。

 

私は決意しました。新しくエンディングにふさわしい新作を作らなければならない。

 

さてどうするか……今までの「ナビス」シリーズの名場面をスライドショーしながらスタッフロールを流す?

ナビスが生まれ落ち、赤ちゃんナビスから子ナビス、大人ナビスへと成長しながら歩いていき、そして力尽き、

新たな苗となって赤ちゃんナビスを実らせるまでのアニメを描きながらスタッフロールを流す?

それとも、ナビスと人間が共存できた未来の可能性を示す?

 

いろいろ考えた結果、私は「あの日描きそびれた『本当の結末』を描き上げる」ことに決めました。

 

物語は「ナビス完結編 前編」で主人公が亡くなった直後から始まります。

天国へ旅立ち、意識が消え始めた主人公は、最初のナビスの天使にあるお願いをします。

 

場面は代わって、夕暮れの川沿いでうずくまる一人の女性。

それは、成人した主人公の孫娘「菜々」でした。

 

大好きだった祖父(主人公)の死に直面し、打ちひしがれる菜々の上空に、

丸くて、小さくて、紫色の天使が8の字旋回で飛び回ります。

それは、菜々が幼い時に祖父が話してくれた「ナビス」そのものでした。

 

やがて、菜々の手のひらに舞い降りる「ナビスの天使」。

「もしかして、あなたがナビス!?」という菜々言葉にナビスの天使は元気よく応え、手のひらで転がって甘えてみせます。

こうして、菜々は「ナビス」の存在が祖父の作り話ではなく実在していたことを知り、

そして「祖父の魂がナビスの天使になって会いに来てくれたのではないか」とも思います。

 

短い邂逅が終わり、やがてナビスの天使は光を放ちながら菜々の手のひらから飛び立っていきます。そして、菜々も

 

「ありがとう!!ナビス!!お爺ちゃん!! 私、今日のナビスの天使の事……………… 絶対に、忘れない!!」と叫びます。

 

こうして、「ナビス」の姿を胸に深く刻んだ菜々は、祖父が話してくれたナビスの話を元に

「ふしぎなナスビ」という絵本で絵本作家デビューし、「ふしぎなナスビ」は何十年と読みつがれる名作になったのでした。

 

こうして、「ナビス」という種族は小さな小島で永遠に生命を繋ぎ続け、

「パープル・リリパット戦争」から70年後、人間とナビスとの共存が叶わなかった代わりに

人間たちにも「ふしぎなナスビ」という絵本となってナビス達の存在が語り継がれていくのでした。

 

「ふしぎなナスビ」の絵本の中でナビス達は、どんな結末を迎えるのか。

主人公は生前、菜々に「パープル・リリパット」の脅威や「パープル・リリパット戦争」の事まですべて話したのか……

ここではあえて、語らないでおきましょう。

 

そして、これが新しい、Youtubeでナビスを視聴してくれた方々への最後のメッセージです。

安らかな眠りにつく赤ちゃんナビス。その夢の中には、どんな光景が広がっているのでしょうか……。

 

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次回、「ナビス後記」として

私KANDWAは「ナビス」への本当の思いと

答えを示し、そして己にかけた呪いを解く。

 

どうかもう少しだけ、お付き合い下さい。